2019年の展望

どうでもいいけど、今日から真の無職になった。年末は珍しく、毎日おいしい日本酒を飲んだり、バーに行ったり、新幹線に置き忘れたiPhoneを買い換えたり、10年ぶりのLinuxデスクトップ環境構築をしていたり、友人・知人とゆっくり話をしていた。連絡をもらえてうれしかったと言ってもらったことはうれしかった。最終出社日を過ぎたあとに、まだ秋冬ものの靴や服を、何か足りないと感づきはしつつも、一部だしていなかったことに気づいたりして、心にゆとりがなかったことに思いあたった。計算機からのアラートを受けることもなく、日々の喧騒から離れ、徐々に自分を取り戻すような感覚がある。今年は、自分を見失わずに、やりたいことを楽しんでやる、ということに注力したい。

 

昨年の大きな転機はやはりはてなを退職したことだ。1年前は退職するとは思ってもみなかったけど、1年前の自分に今を見せても、驚いたあとにああやはりそうなったかと感じると思う。同僚の方々からみても、やはりというような反応をいただくことも多く、客観的にみても納得感があるというのはおもしろい。はてなには強い帰属意識をもって、会社の名を背負う気持ちで自主的に活動していたし、それだけの魅力のある会社だったと思う。もう少し未練が残るかと思ったけど、今のところそうでもなく、良い意味で状態をリセットした気持ちになっている。これまでオープンに表現してきたものが自分を支えてくれているのだと思う。

 

もう一つの大きな出来事は、査読付き論文を投稿できたことで、これがあったために、次は研究開発を専門にやっていくという決意ができた。さすがに、休みの日だけで書くのはそれなりに大変で、1、2回書くだけなら一時的な気力でなんとかなっても、毎年継続的にやろうと思うと、仕事にしていかないといけないなと思った。

 

さて、今年何をやっていくか。

 

まずは、ずっと放置していた生活基盤を見直して、快適に暮らしやすい環境を作りたい。お金のないときになんとなくで買った家具を、今の自分がよいと思えるものに買い換えたりして落ち着きを取り戻したい。

 

次に、研究というものを志すことになるため、研究や科学というものについて深く考えていきたい。そのために、とりあえず、中谷宇吉郎著「科学の方法」を読みながら、情報システムのアーキテクチャとの対応を考えたりしている。こういうことをしていると、漠然と科学に興味があった中学生や高校生だったころを思い出す。

 

最後に、さくらインターネット研究所では、まだなにをテーマとするかを決めていないけど、これまでと変わらずウェブやインターネット基盤技術をやっていくことになる。感覚的には、2017年にアカデミアの場で登壇したときにもった熱量を思い出して、ソフトウェアとして実装していきたい。ちょうど先月まつもとりーさんが書かれた以下の記事から、10年先のインターネット基盤の展望が書かれ、それに必要な技術をつくっていくイメージができた。ウェブのコンテンツ事業者の範疇ではできない基盤技術に取り組めそうなので、ひさびさにワクワクしている。これまでの得意だったウェブサービスアーキテクチャ、モニタリング、データベース、コンテナ仮想化技術、GPGPU、ネットワークスタックなど全部応用できるし、諦めていたOSに近いレベルのシステムソフトウェアを開発していくこともできるだろうし、何より技術階層の意味でのインターネットの会社なので、ネットワーク技術を学ぶこともできそう。

 

 

そして、なんといっても、まつもとりーさんと一緒に働けることをとても楽しみにしている。また、師匠がやってきたことを模倣することに加え、師匠が目指すところを目指すことを意識していきたい。これは大学生のころからよく読んでいて、今も折にふれて読んでいる漫画に書かれている言葉になる。今読むと、バーの原点は茶室にあるとして、エピソードの端々から東洋哲学を想起させるところが、自分を落ち着いた気持ちにさせてくれることに気づいた。

 

“師を求めず 師の求めたるところを求めよ”(長友 健篩、城 アラキ著「バーテンダー 」21巻。元の言葉は、松尾芭蕉の ”古人の跡を求めず 古人の求めたるところを求めよ”)

 

今年もよろしくお願いします。

 

登壇

 

第2回WebSystemArchitecture研究会

 

 

第3回WebSystemArchitecture研究会

 

第11回インターネットと運用技術シンポジウム

 

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